不遜な蜜月


「私か、もしくは玲奈みたいなタイプだったら、ビンタしてスッキリできたんだろうけど・・・・・・」


美紗はぐいっと玲奈の手を引っ張り、丁寧にマニキュアを塗っていく。

やっぱり、ネイルにしても素人が塗るのとでは、出来栄えが違う。


「あんな子だとは思わなかった」


普通の子。

優しそうで、笑えば可愛いような、普通の子。


「ふたりの邪魔、しないで」

「邪魔したくらいで壊れる関係なら、結婚、やめた方がいいんじゃないの?」


爪に塗られていくマニキュアが、美紗の言葉を含んだかのように、重い。


「それで? 結婚をやめさせて、また元の関係に戻りたいの? それこそ不毛ね」


玲奈は途中だったが、手を美紗から奪い返す。

左手の小指だけ塗り忘れたようで、少しばかり滑稽に見える。


「香坂さんに何かしたら、許さないから」