兄さんは自分の身に何が起きたのか分からないのか、惚けている。 ……………間抜け面………… 締まりの無い顔が、余計に緩んでいて気持ちが悪い。 「司ぁー…聞こえてるんだけど………」 兄さんが縋るようにゆっくりと私に近寄って来る。 ゆっくりと、だが確実にその距離は詰まっていく。