「……なんか凄い貶(けな)された気がするけどがんばる」

「うんっ」

ジャレているみんなに見られないようにソッと手紙を開く
先輩に振られた日、二度と恋はしたくないと思った
先輩と圭に裏切られた日、二度とこんな人を愛さないと誓った

それでもあたしは"恋"というものに負けた
もう一度だけ圭に恋をした

手紙の差出人の先輩を思い浮かべた
不器用でがさつで、根性は腐っても優しさだけは腐らなかった凄い霧崎先輩

そんな先輩だって今は恋をしているらしいですね

あたしじゃない
あたし以上に大切な人に

『拝啓 渡辺七海様へ
こんな手紙を書くのは初めてだと思ってる。そして、この先こんな手紙を書くことも無いと思っている。
俺は自分の境遇を恨んで弟の境遇を羨んだ。こんな醜い浅はかな感情でお前に手を出したことを、凄く後悔してる。

でも勝手だけどお前には幸せな道を歩んでもらいたい、と願ってる。俺に気を遣わないで、圭に恋をしてほしい。この手紙がお前の後押しになるとは微塵にも思ってない。』