杏は殴られたせいか鼻から血が出ていた


涙を零して床に転がされても
必死にあたしの荷物を取り返そうとしていた

「…っ……きりさきぃっ!!」

気がついたら先輩の顔を殴っていた
それはもう綺麗に殴っていたのだ


「杏に手を出すなっ!!…これ以上あたしの周りの人を傷つけるなっ!!」

最低だ
あんたは最低のクズだ

「………っせーな。ならまた相手してくれんの?」

挑発をするように倒れ込んだ先輩はあたしを見上げた


「………最低。…あんたを信じたあたしがバカだった」