数日も経つと、あいつらが伊地知を取り囲むのは見慣れた光景にもなっていた。

僕の時と違って伊地知は顔に殴られたような痕さえもなかったし……。



「葛城!」



あいつらのリーダー格でもある葛城のことを親しそうに呼び捨てで呼んでいた。


そんなあいつらと伊地知の様子を見て、茅島は「仲良くやってるみたいね」とほっと胸を撫で下ろしていたけれど……。

葛城が時折見せる、伊地知への冷ややかな視線が僕の目にはしっかりと焼き付いていた。




「それは一番ヤバイ状況だと思う」



伊地知たちのことを聞いた姉さんは深刻そうに僕に言った。

初めて会った日に「姉さん」と呼ぶように言われた。

まだ日も経っていなかったから、姉さんという言葉に違和感を覚えながらも、僕はかんなさんのことをそう呼ぶ。