君に告げよう


チェーンに通された、大きめの指輪だった。

さっき、何となく見たような気がした。

でも、引き出しの中には、似たようなアクセサリーが大量にあったから見落としていたんだ。


思わずポケットの奥を探り、いつも眺めていた、あの指輪を取り出す。



「あらっ?これ、お揃い?」



驚いた顔で、おばさんは、僕と自分の手のひらに転がるそれぞれの指輪を見比べた。

凝ったデザインも曲線さえもない、ただ真っ直ぐな円を描くシンプルな指輪。

僕は震える手で、おばさんの手のひらから指輪を取った。


窓から差し込む陽の光にあてがうようにして、指輪をかざす。



「これね、永輝が死んだ日にはいていたズボンのポケットから出て来たのよ」



きらりと一瞬だけ光り、僕は目を細める。



「名前と、永輝の誕生日が彫ってあるでしょ?……誰の名前かしら」