君に告げよう


ガレージ側の窓を開けると、心地よい風が吹き込んできて、カーテンが優しく舞う。

いつもガレージに止めてあった、永輝くんの赤のスポーツカーはどこにもなかった。


以前と変わらない部屋の中と、空っぽのガレージを交互に見る。

永輝くんは死んだんじゃなくて、仕事に行っているんだという錯覚に陥る。



「――永輝くん……」



そっと呼びかけると、



『どうした?遼太郎』



そんな、落ち着いた静かな声が聞こえてきそうで……。

目を閉じると、永輝くんの静かに笑う顔が鮮明によみがえる。



『真実が知りたいんです……』


そんな晶の言葉を不意に思い出し、僕はゆっくりと目を開ける。