大切な人を見送るのはこれで二度目だ。

雨が降りしきるなか行われた永輝くんの通夜。

長いこと結崎家を空けていた永輝くんのお父さんが、喪主として弔問客に挨拶し、優美ちゃんはそれを納得いかないような目で見ていた。



「……一緒にいた女の子が横からハンドル取ったとか……」

「……らしいわねぇ。その子、意識が戻っていないんでしょう?」

「警察が病院に来ていたって言うじゃない?」



ただの事故じゃなかった。

助手席にいた姉さんが運転していた永輝くんからハンドルを奪ったようだと、後ろを走っていたトラックの運転手が証言した。

二人が乗った車はそのままガードレールを突き破り、転落したと……。


永輝くんは即死。

姉さんは生死の淵を彷徨っている。