「――仕事だよ」



背を向けたまま、顔だけを優美ちゃんの方に向けて、そう言葉を返した。



「永輝が死んだんだぞ?こんな時に仕事って……!」

「――……知らねぇよ、こんなヤツ」

「遼太郎――!!」



いま僕の目の前で、瞳を固く閉ざしたまま、呼吸をすることを止めた男。

僕は……こんなヤツ知らない。


僕が知っている永輝くんは、こんなヤワな男じゃないんだ。