「チームの話じゃなかったの?」

「……永ちゃん、『好きなヤツがいる』ってお兄ちゃんに話してた。あたしのこの腕の傷のことも話してた」



姉さんは制服のシャツを少し上げ、すっかり褪せた痛々しい傷跡を僕に見せる。



「……まったく……、あたしがいるのに……」

「えっ……?」

「別れたこともそうだけど、他の女を好きになるなんて、本当に一時の気の迷いってヤツね」



そう言い切った姉さんを見て、僕は唖然とした。



「なんとか手を打たなきゃね」



雲ひとつない真っ青な空を見ながら、姉さんは低い声で呟く。

僕はそんな姉さんの横顔を見て、言いようのない不安に駆られたんだ。