何度も、迷った。

姉さんに会うべきか……。


けれど、永輝くんは何も教えてくれない。

啓介さんに直接聞けるほど、僕と啓介さんは親しくなかったから。




「……永ちゃん、女ができたのよ」



姉さんが働くレストランに、ピークタイムを避けて行く。

突然やって来た僕に合わせて姉さんは休憩をとり、店の裏口へと僕を誘った。



「……女?」



やっぱり、と思った。

手に取るように分かる永輝くんの変化。

永輝くんを変えたのは、その人の存在……。



「このまえ、永ちゃんちでみんなで飲んだじゃない?その時に、お兄ちゃんと永ちゃんが話してたのよ」