きょとんとした顔で言う姉さんには分からない。
いま僕の心臓が、壊れそうなくらいに暴走していることなんて……。
「ねぇー、柚羽ぁ」
「うん?」
取り乱した気持ちを整えようとする僕の耳に、彼女たちの会話が聞こえてくる。
「大学入ったら、かっこいー彼氏つくろうねー!」
「もう諒子ってば、そればっかりじゃん!」
「えー?大学といえば、それしかないじゃん」
姉さんの顔が近づいてきたことで動揺するあまり……。
彼女とぶつかってしまったことや、彼女たちの会話なんて、まったく記憶にも残っていなかった。
「彼氏かぁ。そうねぇ……」
僕たちと違う世界に身を置く彼女が……――。


