永輝くんは高校を卒業して、建設会社に就職した。

本当なら18歳で族を引退するのが慣例となっているけれど、次の総長候補がなかなか見つからず……。

永輝くんは昼間はスーツに身を包んだ会社員、夜になると特攻服を来て夜の街を駆ける族の総長、二束のわらじを履いていたんだ。



「遼太郎くんからも何とか言ってよ」



永輝くんと姉さんは相変わらず続いていた。

姉さんの腕の傷はすっかり褪せてきたけれど……。

また何かをきっかけにして、新しい傷が刻み込まれるんじゃないかと、正直僕は気が気でなかった。



「お兄ちゃんがね、ユウヤくんを総長にしろって言ってるのに……」

「ユウヤさんを?」



いまだ年少に入っている啓介さんとの面会を終えて、結崎家にやって来た姉さんが口を尖らせながら言う。