「遼太郎。頑張ったな」



嗚咽を漏らす僕の頭を永輝くんが優しく撫でる。


永輝くんの手の温もりと、僕を包み込む姉さんの優しさを感じながら、僕は決心したんだ。



永輝くんのような人になりたい……。

どんな時でも、冷静に物事を考えられるように。

腕っ節だけじゃなくて、精神的に強くなりたい……。

人の本心を見抜ける人間になりたい……。

もう二度と、こんなことが起こらないように……。




『ありがとう、竹島くん!』



ふわりと吹いた春の優しい風とともに、伊地知の明るい声が聞こえたような気がした。