僕と葛城たちの間に永輝くんが割り込み、緊張感の漂う沈黙が続いた。



「マジで……放せって……」

「……遼太郎」

「頼むから……。永輝くんたちだって…仕返しくらいやってるだろ?なんで止めるんだよ」



いつの間にか溢れていた涙を拭いながら、僕は呟くようにして言う。

永輝くんは軽い溜息をついた後で、低く小さな声で話し始めた。



「殴ったところでどうなる?」

「……どうなるって……。俺は伊地知のために……」

「今こいつらを殴るのはおまえの自己満足に過ぎないぞ」

「……自己満足って……、なに言ってんだよ!!」



反論しながら詰め寄る僕の身体を永輝くんは片手でそっと抑えた。

そして僕から視線を外すと、葛城たちの方をゆっくりと振り返る。