無意識のうちに僕は思った。

そして、このままじゃ相手が殺されるんじゃないかと身震いした。


それは相手のチンピラも同じだったのか、ヤツらのごくりと生唾を呑み込む音がそばにいた僕にまで聞こえてきた。

「覚えていろよ」と、お決まりの捨て台詞を吐いてチンピラは慌てて逃げて行ったんだ。



『――大丈夫か?』



振り返った永輝くんは静かに笑いながら僕を見た。

いつもの永輝くん……――。


でも、あの時の永輝くんの表情は僕の記憶にしっかりと埋め込まれていて。

何年経っても、その記憶は少しも薄れることはなかった。