『遼太郎――。

人間は忘れることができる生き物なんだ』



しんと静まり返った永輝くんの部屋。

ベッドのそばにあった、小さな棚の引き出し奥に息を潜めて隠れていた銀色の指輪。



【YUWA 1005】



指輪には彼女の名前が刻まれていた。



永輝くんが大切にしていた人。

生涯でたった一人、深く愛した人――。