目覚ましのアラームが作動を開始するカチリという小さな音で真純は目を覚ます。
 いつもの事だ。
 本格的に鳴り始めようとしたアラームを一音で止める。

 いつもならしばらく鳴らして頭が起きてから止めるのだが、今日はシンヤをもう少し眠らせてあげたかった。
 もっともシンヤはアラームが鳴っていても、気付かずに眠っている事も多いのだが。

 今も腕の中で真純がゴソゴソ動き回っているのに、全く気付いた様子がない。

 あたりはまだ薄暗い。

 真純はしばらくシンヤの腕の中で、その温もりに浸った。

 ゆうべはシンヤが偽者を探っている間、気になってろくに眠れなかった。
 灯りを消して布団に入ったものの、うとうとしては何度も目を覚ました。

 ようやく眠りについた途端、シンヤがゴソゴソと潜り込んできたのは覚えている。
 少しムッとしたが、起こさないように気を遣いながらそっと抱きしめられたら、その温もりになんだか安心して、いつの間にか眠っていた。

 真純はシンヤの腕の中から這い出し、ベッドの縁に腰掛けた。
 幸せそうに眠るシンヤの顔をじっと眺める。