ドアを閉めたあと 勘ちゃんは一言も喋ろうとしなかった。
「勘ちゃん?」
「美香…俺さ…」
『ギュッ』
「えっ?勘ちゃん?」
私は勘ちゃんの力強い腕に抱き締められた。なにが起こってるのか理解できずに状況を把握するのに必死だった。





「好きだ…。ずっとずっと好きだった。俺は小さい時から…ずっと美香だけを見てた」
「えっ?」
「俺の側にいてくれ。俺だったら悲しい想いさせないから…」
「勘ちゃん……」
勘ちゃんは さっきよりも強く、包み込むように私を抱き締める。抱き締められた手から…勘ちゃんの想いが伝わってくる。




「俺と…付き合って?」
「……ゴメン。私…勘ちゃんを そんな風には見れないよ…」
「俺…待ってるから。」
「………」
「おやすみ」
「おやすみ」
勘ちゃんは そう言うと、階段を上がり自分の部屋に戻っていった。私は今日 初めて…勘ちゃんの本当の優しさを知った。