「美香…泣き止めよ…」
「だって…」
私は まだ勘ちゃんの腕の中で泣きじゃくっていた。先輩と その彼女さんは まだ下にいる。リビングで私達が来るのを待っているのだ。もぅ だいぶ時間が経っている。




「美香…そろそろ下 行こう?」
「やだ」
「先輩たちが待ってるぞ?」
「先輩に会いたくないもん…」
「じゃぁ もうちょっとだけな」
勘ちゃんは いつも私の わがままを聞いてくれる。すごく優しい。




「ねぇ勘ちゃん?」
「なに?」
「なんで そんなに優しいの?」
「……」
勘ちゃんは 少しだけ黙っていた。言葉に詰まっているようにも見えた。
「俺は優しくないよ。じゃぁ下 行くわ」
勘ちゃんは それだけ言い、部屋を出ていってしまった。