「じゃぁ俺 帰るね」
「えっ!?もう帰るんですか?」
「うん。8時だし」
「あっ……」
私が時計を見ると、短い針が8を刺していた。安本先輩は8時までしか ここにいる事ができない。私が無理矢理 引き止めたんだから…そろそろ帰してあげないと…



私は先輩を玄関まで見送ると、手を振って さよならした。
「先輩さようなら」
「うん。またね」
「……はい!!」
私は先輩の『またね』と言う言葉が、ものすごく嬉しかった。『またね』は 『また今度ね』と言う意味もあると思う。



それが とてもとても嬉しかった。
「先輩!!さようなら!!」
私は先輩に元気に あいさつして、先輩が見えなくなるまで ずっと手を振り続けた。
私は先輩と また会える。そんな気しかしなかった。幸せな時間は幕を閉じたけれど…またねと言う言葉は、いつまでも私の中で光り輝いていた。