「中田萌」
続いて萌ちゃんも名前を呼ばれ、大きな返事をしていた。




「はい!」
萌ちゃんは堂々と歩き、先生の前で足を止めた。
「卒業おめでとう」
萌ちゃんは先生から卒業証書を受けとり、頭を下げた。
その時、一瞬だけ顔が見えて いまにも泣きそうになっていた。



「新井日菜子」
続いて日菜子のクラスになり、次々に名前を呼ばれた。
「はい」
日菜子は全く泣かなかった。そんな日菜子はカッコ良かった。
私は涙をこらえながらも、舞台に立った。
次は、みんなが卒業式のために普段から練習していた歌。




曲は【旅立ちの日に】
ピアノから流れる音。みんなの鼻をすする音。歌声。
全てが新鮮だった。
みんなで集まるのは今日で最後。
学校へ来るのも…今日が最後。
歌い始める瞬間、いままで我慢していた涙が溢れ出た。