「いえ、大丈夫ですよ」
勘ちゃんは、いつも冷静に対処している。
「私のせいなのよ…空が事故をしたのは」
女の人は椅子に座り、ぐったりしていた。
「どういう事ですか?」
私は女の人の意味深な言葉に、少し驚いた。




「私をカバって、空は事故に遭ったの…」
「カバってですか?」
私はもう一度 聞き返した。
「そうよ。私…空と喧嘩したの。それで飛び出したら ちょうどトラックが来て…空が私を押して…ひかれたの…」
女の人の声は震えていた。
そして涙を流していた。




先輩は、それだけ この人の事が好きなんだ…。
完全に負けじゃん。
もう…諦めるしかないか…
この人には勝てないよ…
「そうですか。お大事に」
私は女の人にジュースを渡すと、病室から出た。