｢どうしたんですか？｣
｢………｣
先輩は黙ったままだ。
｢先輩…｣
｢ゴメン…俺…｣
先輩は抱き締める力を強めた。先輩の腕の中は、すごく暖かくて安心できた。




｢彼女さんは…｣
私がそう言った瞬間、先輩は私から体を離した。
｢気まぐれですよね…私なんか…眼中にないですもんね…｣
私は泣きそうだった。
知ってたよ…先輩には彼女がいて私なんか見てないって…




でも抱き締められた時、少し期待しちゃいました…先輩も少しは私の事を気にしてくれてるかもって…
｢ハハッ｣
私はいつの間にか涙を流していた。
それは悲しみの涙。
期待した自分がバカみたい…