「痛い。痛いって!!」
妃菜は会場に私を放り込むと
『あれ見てよ』と言った。
妃菜が指差す方向に目を向けると…




「あっ…先輩…」
思わず声を出して呟いていた。
「あの先輩の名前、見えるよね?」
もちろん見える。ちゃんと見えてる。
だって書いてあるもん!!
垂れネームに『安本』って名前が。



私は妃菜の言葉に頷いた。
私は1つ、あなたの事を知りました。
それは、あなたの名前。
なんでこんなに嬉しいんだろ…。
なんだか…心の奥が くすぐったい。