「いまから…家行ってもいい?」
「えっ?……」
「会って話したいんだ…」
「…………」
私は勘ちゃんの言葉を聞き、少し戸惑った。電話越しに沈黙が続く…
「行ってもいい?」
勘ちゃんの優しい言葉を聞いて、私は勘ちゃんに会いたいと思った。いつまでも こんな状態のままじゃ嫌だったから。




「勘ちゃん…来て…勘ちゃんに会いたいよ…」
「わかった。すぐ行くから待ってろ」
「うん」
勘ちゃんは一方的に電話を切った。それから何秒か経ち、家のチャイムが鳴った。
『ピーンポーン』
「はい」
私がドアを開けて外に出ると、勘ちゃんが立っていた。





「美香…待った?」
「ううん。待ってないよ」
勘ちゃんは家に上がると私の部屋に向かった。
「おぉ!!勘太郎!!」
「おじさん?こんにちわ」
お父さんは勘ちゃんに気づいたのか、煙草を吸いながらニコニコしている。勘ちゃんは私たちの家庭の事情を知っているので、けっこう驚いているようだった。