家に帰ると、意外な人物がいた。
「お父さん?」
「よぉ。久しぶり」
お父さんとお母さんは、私が幼い時に離婚して それ以来 私とお母さんと二人で暮らしている。
「南留は?」
南留(なる)とは、二つ離れた私の弟だ。お父さんとお母さんが離婚した時、私はお母さんに付いていき、南留はお父さんに付いていった。




「なにしてるの?」
「ちょっと暇だから来てみた」
「そうなんだ」
お父さんが煙草を吸い始めたので、階段を上がった。私は煙草の臭いが嫌いなので自分の部屋に入った。
「あーあ…最近いい事ないなぁ…」
『プルルルルプルルルル』
私が溜め息をついたと同時に、携帯の着信が鳴り始めた。





携帯の着信を見ると、相手は勘ちゃんだった。出るか出ないか迷ったが、無視するのは さすがに可哀想だったので一応 電話に出た。
「もしもし」
「美香?」
「どうしたの?」
勘ちゃんは なにやら真剣な声だったので、なにかあるのかと心配になった。