「…だったらどうするの?僕を殺しでもする?」
ルクは低い声で唸るように言う。
その様子を見て、黒ずくめの男は首を振った。
「お前には婚約者が居るのだからな。」
ココはびっくりしてルクを仰ぎ見る。
何だか、もやりとした。
…こんなにカッコイイのだから有り得る話なのだけれど。
ルクは少し困ったように一瞬こちらを見てから、また前を向いた。
「僕がいつ婚約者と結婚するって言った?
僕は残念だけれど大事な人がもう居るんだけどな」
ちらりと黄金の瞳がこちらに向けられ、輝く。
こんなことになってもルクはこう言ってくれる。
一瞬うれしくなったけれど、黒ずくめの男の次の言葉にココは凍りついた。
「…では、殺してでも連れていく。
ただお前が大人しく妖界にもどり事を成すのならば、殺さぬつもりだったがな」
ドクン、と心臓がなった。
あせってルクにしがみつく。
「ダメです…、死んじゃ、…っ私ルクに死んでほしくないです…」
目の奥が熱くなって、涙が出た。
ルクはびっくりしたように目を見開いていた。
「ココ……」
ルクは戸惑ったように、顔を歪める。
ココは、何としてもルクに死んでほしくなかった。
初めてできた、私を愛してくれるひと。
「さあ、どうするのだ?」
黒ずくめの男が、嘲笑を浮かべた。

