覚悟して目を、閉じたけれど。
「…?」
痛みはいつまでたっても襲ってこない。
かわりに、足に何か生暖かい物がぽたりと落ちた。
ココははっと目を開ける。
目の前に居たのは、ココに覆いかぶさるようにしているルクだった。
そのむこうにはノエルの赤い瞳が覗く。
「ルク…さ…」
ココは声を震わせ、言葉をつむぐ。
ルクは何でもないように優しく微笑んだ。
「ルク、だろ?さんはいらないよ」
そう言ったルクの手には受け止めた短剣が貫通して刺さっていた。
足に落ちた生暖かいのはルクの手から流れた、血。
結局私はルクに怪我をさせてしまったー…
そんな思いが胸にわきあがる。
「言うこと聞かなかった悪い子は
帰ったらお仕置きだね?」
そう言ってルクは立ち上がる。
ルクは手から短剣を抜き取り、それを地面に放った。
そして、ノエルに向き直る。
黄金の瞳は冷めた色を浮かべて…
その声音も、冷たい。
「君、誰?僕のココに何か用?」
ルクの言葉に、ノエルは笑い声を漏らす。
そして静かに微笑む。
「貴方の?冗談はやめましょう?
"苺の血"は僕が戴きます」
ノエルは楽しげに笑うけれど、赤い瞳は笑っていない。
対するルクは笑みの一つも浮かべずただ冷めた目で、低い声で言った。
「どうでもいい理由だ。
いい加減にしないと殺すよ?」
その言葉とともにルクの体から光が発せられ
ざわざわと風が吹いた。
その風に目を閉じ、
次開けた時には銀色の妖狐が居た。

