「はあっはあっ…」
ココは息を切らしながら白い路地裏を右へ左へ走った。
もう、カフェに戻る道も人間界に戻る道もわからなくて。
高くそびえる白い建物の隙間からは夜の光がのぞいていた。
ココは、つまずき、転んだ。
私は…
私は愛されちゃいけないんだよね…
私を愛したら
私を守ってもらったら
ルクにも迷惑がかかる…
今まで愛されたことのないココは悩み、悲しくなる。
こんな自分が愛されていいのか、
急にわからなくなった。
そんなとき、
ふわりと生温い風が吹いた。
その風が吹く場所から人の気配を感じて、
ココは転んだままの体を起こす。
まさか…ルク?
でも、聞こえた声はあのハスキーな声ではなくて少年みたいな声だった。
『やあお嬢さん。
こんなところで何をしてるんですか?』
すっと白から熔け出るように茶色の髪と、赤い瞳をもつ青年があらわれた。
声に反して、その姿は大人びていた。
「誰…ですか……?」
その妖しい雰囲気に怯えながら問う。
この人は、人間じゃない気がした。

