ココはぼうっとしていてはっとして手を振った。
「はう!つ、続けてくださいっ」
ココはしどろもどろそう言って後ろに下がった。
心臓がバクンバクンとなり
うるさくて…
ルクは頭にのっかる三角形の獣の耳をぴくぴく動かして楽しげに笑う。
…絶対心臓のおと聞こえてる!
ココは真っ赤になって顔を覆ったけど、ルクは面白そうに笑う。
「カフェの紹介は終わり。
最後に僕の紹介だけど…」
ルクはそう言ってずいっとココに近寄った。
「僕は甘党だよ。
甘い食べ物が大好き。よく覚えてて?」
ココはぶんぶん頷いた。
き、き、緊張するっ…!
「は、はいっ、わかりましたっ」
ココが返事をするとルクは満足げに黄金色の瞳を細める。
それからそのまま言葉は紡がれる。
「ココ…君は家に戻らなくても
大丈夫なの?勝手に来たんだろ?」
ココは一瞬はっとするけどすぐに首を振った。
「きっと母は私が居なくなっても
なかなか気がつきません…だから…」
そこまで言ったところでルクがココの唇にそっと指をあてた。
綺麗な黄金色の瞳が揺れる。
「悲しい顔をするくらいなら、
言わなくていい。」
そしてピンッとココのおでこにデコピンして
くすくす笑う。
「痛い…何するんですか!」
ココは怒ったように言うけどルクはひらりとその視線をかわし
カウンターの奥へ行く。
「一応、置き手紙でも置いてきたら?
僕と一緒に居てくれるんだろ?」
ココはちょっと悩んですぐ頷いた。
「わかりました、すぐ戻ります!」
ついでに甘い物、家から持ってこようっと。
ココは何だか幸せな気分で一度カフェを出た。
一瞬、さらさらと夢みたいにこの場所が消えてしまわないか心配になったけど…
大丈夫、
ルクさんが約束してくれたんだから。

