戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】



「……登喜……」



博嗣は私の上に乗り、耳元でその名を呼ぶ。


頭のてっぺんから何かが駆け抜けたような気がして、

身体が震えた。



「博嗣、お願い、今日は……」


「義貞」


「よ、義貞様。

お願いします。

お願いだから、次代夢見姫を任命するまでは……」



もう自分でも何がなんだかわからなくなってきたとき、

耳元で「ぷっ」と、何かが破裂するような音がした。



「そ、そこまで硬くならずとも……」


「あ、あ、あなた、からかったわね!?」


「ははは、どのみちこれでは無理でございますなぁ」



博嗣は横に寝て、まだカチコチに固まったままの私の肩をなでた。


そんなささいなことにも、おかしいくらいビクビクしてしまう。


何せ、全てが初めてなのだ。