博嗣は私を抱きしめると、
何故か膝の裏に手を入れ、そのまま立ち上がってしまった。
突然視線が高くなって、思わず両手を博嗣の首にまわす。
「では、約束を果たしましょう。
今すぐ」
「……ええっ!?」
博嗣は隣の間のふすまを、行儀悪く足で開ける。
そこは私の寝室であり、布団は敷かれているが、もちろんそれは一組。
こ、これはいけないっ!!
「だ、だ、だ、だめ!!」
「どうして?」
「家の者に、報告を……っ」
「聞こえませんな。
そもそも勝手に取り乱して、力を消して欲しいと言ったのはあなた様です。
あのように誘っておいて、今さら拒否はできませんよ」
そう言って博嗣は、私を布団にゆっくりと降ろした。



