博嗣の元へ着くと、彼はにこりと笑って、背後の崖を指差した。



「ほら……もう、大丈夫です」



崖の上を見る。


そこには、無数の馬と軍隊が、西条の旗を掲げてこちらを見下ろしていた。



「あれは……!!」


「敵襲があった時、篤姫様に式神をお借りしたのです。

意外と早くついてくれて、助かった。

あとは領主様たちがやってくれるでしょう」



その言葉どおり、馬で崖を降りてきた西条の軍隊は、

既に戦意喪失している東雲の兵に、次々に縄をかけていく。


騒然とするその場を、私は夢のような心地で眺めていた。