「博嗣―っ!!」
ぐ、とうなった博嗣はそれでも倒れはせず、立ったまま持ちこたえた。
その眉間にはしわが寄り、苦悶の表情を映し出す。
「卑怯な……」
「戦に卑怯も何もあるか!
勝たなければ意味がない。
どのような手を使ってでも、勝てば良いのだ!」
豊橋は下品に笑い、鉄砲を持ったまま前線に帰ってきた。
博嗣のわき腹からは血が吹き出し、青い着物が黒く染まっていった。
「……せっかくだから、一騎打ちにしないか、豊橋右京」
「その傷で、鉄砲に勝てる気でいるのか。
どれだけ傲慢なのだ」
豊橋は高らかに笑い、新しい鉄砲を受け取ると、部下を下がらせた。
一応、一騎打ちに応じる気はあるらしい。
豊橋と、傷ついた博嗣の周りには誰もいなくなった。
その瞬間……
不利なはずの博嗣が、不敵な笑みを浮かべる。
そして、私に向かって叫んだ。



