「すごい……」 まさに、鬼神のごとき速さ。 あの優しい男のどこに、こんな激しさが隠されていたのだろう。 「くそっ!!」 「!!」 博嗣が息をついたその刹那。 彼を、豊橋の視線がとらえた。 いつの間にか、その手には再び鉄砲が握られていて…… 引き金が引かれるのが、実際より何倍も遅く見えたように感じた。 破裂音が尾を引き、空を震わせる。 その弾丸は、博嗣へまっすぐ向かい──。 わき腹を、貫通した。