戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】



「火縄銃……!」


「さすが夢見姫、よくご存知だ」



豊橋は笑ったまま、木と鉄でできた鉄砲の口を、こちらに向けた。


それを合図に、その家来たちもずらりと横に並び、同じ鉄砲をかまえる。


後の方は、まだ弓矢や刀らしい。



「早く逃げぬと、全員蜂の巣になるぞ?」



豊橋は不気味な笑顔で、私の背後を見た。


その瞬間、背中を冷たいものが駆け抜ける。


まさか、鉄砲の弾は、あの崖の上まで届くというのか。


それとも、私を殺して、全員を……という意味だろうか。



「させぬ……」



どちらであろうと、そんなことはさせぬ。


私は、一人でも、ここを食い止める。


……たとえ、この霊力を使い切って死ぬことになろうとも。



「……撃てぃっ!!」



豊橋の大音声が響いた。


すると一斉にがちゃん、と不吉な音がする。


私は、息を吸った。


神の代から続く、歴代夢見姫の魂よ……


私たちを、守りたまえ!!