「あなたのものになれば、より多くの人殺しをさせられるのでしょう?」
「わかっておらぬな。
それも、わしが天下を取るまでのこと」
「それは楽観的すぎる。
戦は戦を呼ぶ。
あなたはもう、人の恨みを買いすぎた。
天下を取れば、必ず誰かがその首を狙う。
戦国の世になってから、そんなことの繰り返しではないか」
いや、戦国だけではない。
この星ができてから、人間はずっとそんなことを繰り返している。
決して、終わりはないのだ。
「いくら言われようと、私は、戦には加担せぬ」
きっぱりと言い放つと。
合戦上を、なまぬるい風が吹き抜けた。
遠くから流れてきた煙のにおいが鼻につく。
豊橋はそんなことなどまるで気にならないようで、くくくと低く笑った。
「ならば……皆殺しだな」
そういって馬を下げさせ、代わりに持ってこさせたのは……
刀ではなく、槍でも弓でもなく。
それは話には聞いたことがあったが、
実際に見るのは初めての武器だった。



