「今の重責から降ろしてくれるのなら、どこかへお嫁に行ってもいいんだけどね」
「えっ」
博嗣は心底驚いたような顔をした。
「だって、辛いんだもの、夢見姫って。
楽に見えて、結構気苦労が耐えないのよ」
「いえ、楽には見えませんが……」
「殿方と交わって力を失えるなら、それでもいいかなって思う事もある」
「ひっ、姫様!なんてことを!」
私が誰かに抱かれるのを想像したのか、博嗣は顔を真っ赤にしてしまった。
「でもね……そうやってお嫁に行くなら、
私を好きな人のところじゃないと嫌」
「姫様……」
「私の事を、ちゃんと見てくれなきゃ、嫌。
愛してくれなきゃ、嫌。
同じくらい、子供達も愛してくれる人でなければ、
絶対に、嫌」
なんでこんなことを話してるんだろう。
博嗣は困ったような顔をしていた。
それでも私は、吐かずにはいられなかった。
家来の前では決して吐けぬ弱音を。
彼ならば、受け止めてくれると思ったから……。



