そして今日は12月23日。あれから22日も経った。俺は完全に夏海さん不足。


「…みじめすぎて泣ける…。」


誰もいないリビングで俺の大きな溜め息と、独り言にしては大きすぎる独り言が響く。
22日間、会うことはおろか、メールさえしていない。夏海さんはあまりメールが好きじゃない。それに卒論の忙しさは他の先輩に聞いていて知っていた。
完璧主義者なところがある夏海さんがどこかに妥協点を見つけるなんて考えられない。ということはつまり、締め切りまでギリギリ粘って論文を仕上げるのであろう。
…だから俺は、一人なのだ。


誰がこんなクリスマスを想像しただろう。俺だってこんな風にクリスマスを迎えるなんて考えてもみなかった。大好きな夏海さんと幸せすぎる時間を過ごすはずだった。


「って…子どもみてぇじゃねーか、俺。」


夏海さんが卒論を執筆しなくちゃいけないことは分かっていたし、卒業するために絶対に必要なことなのだから、ここは応援すべきだって分かっている。
頭では分かっているのに、感情が全然追い付いてくれない。


…好きだと思えば思うほど、子どもじみた独占欲に支配される。


「夏海さんの方がよっぽど男らしい…。」


やるべきことをしっかりとやっていて、前に向かって進んでいて。
年はたかだか1個しか離れていないのに、精神的な大人度を測れば多分1個程度の差では済まないだろう。
こうして夏海さんに会えない日々が長期間続くのは初めてで、だからこそこの自分の子どもっぽさと直面せざるを得なくて、さらに絶望は増す。


…自分は、こんなにも子どもっぽくて幼稚だったのか、と。


夏海さんは一人でちゃんとやるべきことをやっているのに、俺はただ夏海さんのことばかりが頭に浮かんで何もできないでいる。
…応援も、我慢も、何もかも。