「ごめん!ほんっと寝ぼけて…俺…キス…してた?」

「…あの…は、はい…。」

「うわー!嫌…じゃなかった?」

「…あの…い、嫌じゃ…なかったです。び、びっくりしましたけど。こんな佑介さん見るの、初めてだったので。」

「…俺、朝弱いんだ。起きてもぼーっとして壁に激突したりコーヒーこぼしたりするのなんてしょっちゅう。」


驚いて身体を起こして私から離れた佑介さんは、頭を掻いて苦笑いを零しながらそう言った。


「そ、そうなんですか…初めて知りました。」

「いきなりこんな姿を知られるとは俺も思ってなかった。
…そのー…いきなりごめん。」

「い、いえ。あの、言い方変かもしれないですけど…だ、大丈夫です。びっくりしただけです。
でも、…あの、思ったこと言ってもいいですか?」

「うん?」

「…ちょっと、可愛いって思っちゃいました。とろんとした目の佑介さん。」


お菓子を食べている時は優しい目をしていて、取材の時は真剣な目をしていて。色々な佑介さんを見て、その一つ一つをかっこいいな、素敵だなって思ってきたけれど、こんなに可愛い佑介さんは初めて見た。だからすごく…


「嬉しいです。佑介さんの色々な顔が見れて。」

「…俺も。ひなたが可愛くて可愛くて仕方がなくて、…ちょっと苦しい。」

「え、苦しい…ですか?」

「キスだけじゃ、止まれなくなりそうで。」

「っ…そ、それはっ…。」

「心の準備、できてないって顔してるよ、ひなた。」

「あのその…その通りで…。」

「うん。分かってるよ。だから今は…。」


そう言うと、佑介さんがまた布団の中に潜り込んでくる。