* * *


30分も経たないうちに、ひなたがそっと出てきた。


「…暖かかったです。ありがとうございました。」

「っ…!」


照れているのとは別の意味で赤く染まっている頬に、しっとりと濡れた肌。いつもと同じはずなのになんだか妙に違って見えてしまうひなたに、俺は確実に動揺している。…ひなたの方はリラックスした顔をしているというのに。


「…それ、パジャマ…?」

「あ、はい。家でいつもパジャマで…。」


これが多分、だめなんだ。いや、だめじゃないけど。だめじゃない。全然だめじゃない。…でも、パジャマなんて…。


「…可愛すぎるだろ…。」


オレンジ色のチェックのパジャマを纏うひなたを直視できない。…これは、可愛い。


「あ、あの、佑介さんもお風呂…どうぞ。」

「あ、うん。入ります。」

「…どうか…しましたか?」

「いや、大丈夫。ってか俺今入んないとやばいかも。」

「え?」

「…うん。大丈夫だから。」


俺はスウェットとバスタオル、そして替えの下着を持ち、お風呂場へと向かった。
心臓がドクドクとうるさい。


「…ちょっとやばいかも。」


そんなことというか、こうなることはどこかで分かっていたような気がしないでもない。
…分かってたんだ。ひなたを〝お持ち帰り〟したら、我慢なんてきっとできないだろうってことは。