* * *


「お風呂入れるから、ちょっとソファー座ってて。」

「は、はいっ…!」


クリスマスイブに、俺はひなたが作ってくれたケーキとひなた本人を〝お持ち帰り〟したわけだけど…。


「…ひなた、緊張してる?」

「…は、はいっ…。」

「大丈夫だって。何もしないよ。」

「お、男の人の部屋っては、初めてでっ…ど、どうしたらいいのか…。」

「どうもしなくていいよ。疲れてるんだし、ゆっくりして。」

「…が、頑張ります。」

「別に頑張らなくていいのにー。」

「だ、だってこの部屋…。」

「ん?」


ひなたの顔がほんのりと赤く染まる。その意味があまりよく分からなくて、俺はひなたの隣に腰を下ろしてひなたの顔を窺う。


「…ゆ、佑介さんのお家だから、当たり前のことだと思いますけど…佑介さんの香りでいっぱいで…ふわふわします…。い、今もと、隣にいるってだけでもう…いっぱいいっぱいっていうか…。」

「…窒息しそうってこと?」

「それに近い…です。」


きゅっと手を握って、目までぎゅっと瞑って、それでいて顔を赤く染めていて。
…どれだけ可愛ければ気が済むんだ、ひなたは。


「…我慢したいんだけどな、俺。」

「え…あ、きゃっ…!」


ひなたの細い肩に手を伸ばし、自分の方へと引き寄せる。ひなたはあまりにも簡単に俺の胸に抱かれている。