「お詫びといってはなんですが、ご飯は作ります。なんならケーキもお作りします。あとプレゼントも…用意します。」

「…プレゼントは凜がいいなぁ俺。」

「む、無理ですそれは!」

「分かってるって。言ってみただけー。」

「もう!びっくりさせないでください!」


半分怒ってて、でも半分は照れてる彼女を見るのも楽しい。
俺の前でだけくるくると表情が変わる。色んな彼女が代わる代わる俺の前に出てきては俺を魅了する。


「じゃあお家デートってことでいいの?」

「はい!」


満面の笑みを返してくる彼女。…お家デートがいかに危険なのか分かってないって感じの笑顔だ。密室なんだぞ、密室。…いや、我慢はする。一線は越えない、ようにする。努力する。善処するんだ、俺。


「ねぇ、凜。」

「なんですか?」

「クリスマスプレゼントにはさ、名前呼んでよ。呼び捨てで。」

「え?」

「〝さん〟はいらない。颯って…呼んで?」

「それで…いいんですか?」

「うん。」

「…はや…颯…。」

「え…?」

「だ、だってそんなのがクリスマスプレゼントだなんて安すぎます!だめです絶対!ちゃんと用意しますから!」

「…不意打ちで名前呼ぶとか…はぁー…。やっぱクリスマスやばいかも。」

「え?何か言いました?」

「…別に何も。ってか凜。」

「はい?」

「とりあえず今回のクリスマスは我慢するし、凜が高校生の間は我慢するけど…。
でも卒業したら容赦しないから、そこんとこ覚悟しといてね?」

「なっ…!なんですかそれは…!」


今日一番に顔を赤く染めた彼女がポカポカと俺を叩く。その腕を掴んでそのまま身体を捕まえれば、彼女はもう身動きできない。


「何って…もう我慢しないってこと。」

「颯!」


*fin*