* * *


突然寒くなり始めたのが11月。それからさらにぐっと冷え込む12月。
気が付けばセンター試験まで残り僅かとなっていた。


「…紗衣、調子どう?」

「え、模試の結果?」

「うん。」

「判定を聞いてるの?」

「まぁ…うん。」

「この前のは調子が良かったからA判定だったよ。」

「っ…まじ?」

「思ったよりも国語と数学が取れたの。」

「…そっかぁ…。」

「大翔くん、だめだった?」

「だめじゃないけど、良くはないかなって。」

「お前の場合、天誅。」

「は?」


ひたすらに不機嫌な声で外を見つめながらそう言ったのはユウだ。


「だから、その節は謝ったじゃん!ごめん!だってまさか言ってないとは…。」

「…カンナの性格分かってるだろ?」

「それは…まぁぼちぼち。」


綺麗な顔立ち(男の俺が言うのも変な話だけど一般論らしいし)をしているっていうのに、最近のユウの顔は酷く冴えない。
…半分くらいは俺のせいだけど、半分は自業自得だとも思っている。


「…勉強、だる…。」


ユウが溺愛彼女であるカンナちゃんと揉めて少し経つ。ユウの怒りは全然収まってくれない。


「大翔くんが口を滑らせちゃったのも確かだけど、でもそもそも水無月くんがこんな時期まで言わないのも…。」

「雨音まで俺を責めんのか。」

「え、あ、そんなつもりじゃ…。」

「じゃーいつでも大翔の味方ってこと?」

「っ…。」


紗衣の顔が一瞬で赤く染まった。肌が白いからこそその赤さは強調される。