ここに売られてきた時から 新造の時まで… 定吉様には迷惑ばかりかけ、 よく八つ当たりもしたものだった 初めて泣き顔を見られたのも 定吉様だった。 始めて私を励ましてくれたのも、 定吉様だった。 「もう…会うことはありんせんが…お幸せになっておくんなんし」 それだけ言って定吉様に一礼し 自分の部屋へと戻っていく 「幸せに………か」 ポツリと定吉が呟いた