そんな頃 一人の男が私を指名し 座敷へと通された。 名は初めて聞いた名だった。 「失礼しん…す…」 襖を開けて目の前にいたのは、 あの日、茂孝と共に来た男だった。 少し驚いて彼を見ていると、 彼は少し照れながらも 爽やかな笑みをこちらに向けてきた。 「おぬしの事…いかがも気になり申して、来てしもうた」 私が気になった……? 確かに男はそう言った