普段はガランとした空間なのに、今日だけ離れは沢山の人で溢れていた。



皆…着物姿で、思い思いにチョイスした花材を花器に生けこんでいく。



松、竹、梅、水仙、寒梅、柳、千両、南天、葉牡丹と冬の代表の花材が多い。


家元の後ろを歩くのは次期家元の和也。


和也の後ろを歩くのは和也の母親と婚約者の私。



「皆…南天を花材に…用いてる方が多いでしょ?」


「はい」


「あれは『難を転ずる』…縁起物なの」


「はい」


和也の母親は私に色んな事を教えてくれた。