迷い込んだお姫さま

「何、持ってほしいの?」


え!?


どうせ知らないふりしてスルーすると思ってたのに。


「持ってくれるの……?」







こんなにも意地悪な顔をしているのに、少しでも期待したあたしがバカだった。


「仕方ねぇな、一冊だけ持ってやるよ。」


ガーン……………………


あたしは目を見開いて固まってしまった。


「なんだよ。置いてくぞ。」


い、一冊……


なんなんだよこの人は……。


呆れてものも言えない。