「俺はスカウトマンより、お前いじってるほうが何倍も楽しいんだけど。」


と言ってあたしの髪をさらさらと弄びだした。


「ちょ……」


これがけっこう恥ずかしい。


しかもここ公共の場所だし。



あたしがかなり戸惑っていると、蓮くんが助けてくれた。


「理夜……妃禾ちゃんが困ってるから……。」


蓮くんの言葉と共に、理夜くんの手が退いた。


「なんだよ、いいだろ。」


と、もう一度あたしの髪に手を伸ばそうとする理夜くんの手を、蓮くんがまた掴んだ。


「はあ……子供か。」


蓮くんのそんな言葉に思わず笑ってしまった。




こんな他愛もないやり取りが、今はただ楽しいばかりだった。